今回は異常です。ありがとうございました。

DLsiteがるまにの作品感想やラノベ感想などを投稿しています。

モブに転生したら、断罪後の悪役令嬢の身代わりにされました 感想。

 

今回もKindle Unlimitedから。

こちらの作品は悪役令嬢、とタイトルにあるのですが。

浅田が今まで読んできたモノみたいに

「このままでは断罪されて破滅!そのフラグを回避しよう!」

……じゃないんです。

 

もう断罪されているんです…。

 

さあこの作品の感想に移ります。

続きを読む、からスタートです。

 

 

物語の序盤は悪役令嬢:グレースが婚約者のオスカーに断罪される場面。

いきなりすぎます。

乙女ゲーム終盤に起こるイベント、断罪が序盤に出てくるのは驚きですね。

 

オスカーは今までグレースのやってきた悪行の数々を述べ、

乙女ゲームの主人公:シャルロットを庇うように抱き寄せてグレースとの婚約を破棄すると大勢の前で宣言。

それに怒った…というか怒り狂ったグレースは暴れて……

これはもう悪役令嬢断罪イベントあるあるですよ。

 

これにてこの乙女ゲー、おそらくオスカールートは完結。

……と思いきや。

この会場内に、この小説の主人公が居ません。

 

だって主人公は

モブの魔女に転生していたので会場にいないのですから。

 

 

主人公:ドロシーはチートな魔女の弟子として日々生活を送っていました。

事件が起こったのは師匠がとあるお屋敷に呼ばれた時です。

そのお屋敷に住んでいるのは、

「あの」悪役令嬢:グレースとその家族だったのです。

 

ドロシーはグレースとは初対面。

なのに見覚えがある気がする。

どうしてなんだろう…と思っていたら、

「そうか私はこの乙女ゲーの世界に転生してきた存在なんだ!」

という結論に辿り着きました。

 

ですがドロシーなんて名前の登場人物など聞いたことがない。

じゃあ誰?

もしかして。師匠がアイテムを授ける時に薬を運んできたあの弟子魔女……⁉︎

思いっきりモブじゃん!

 

思い出した元の世界のこと。

そしてこの乙女ゲーの世界観・内容。

「このゲームめちゃくちゃヌルゲーだった!」……ということも。

攻略キャラがめちゃくちゃにチョロいって意味も含まれてます。


さて、師匠がグレースの家族に呼び出された目的。

それは「グレースとオスカーの婚約破棄を撤回するようにしてほしい」というモノでした。

とんでもない依頼です。

だって断罪イベント後なんだから修復しようがない。

もう既にシャルロットとラブラブになってますよ……。

だけど家族の方々は「婚約解消されると互いの家の為にならない」と大人の事情を振りかざし

師匠に依頼を受けてもらおうと懇願します。

これだから貴族とかは……。

 

師匠は依頼を受け、2つの行動に出ました。

1つめは悪役令嬢:グレースを徹底的に教育して真っ当な令嬢にすること。

超スパルタ教育です。

2つめは「ドロシーがグレースに成り代わってオスカーに近づき婚約破棄撤回になるよう説得する」でした。

ドロシーは師匠みたいな超人的魔力・魔法は使えません。

主に薬品・化粧水を精製したりする魔法が得意です。

そしてもう一つの魔法は「変身魔法」です。

その変身魔法を使ってグレースになり、オスカーに近づき説得をするという作戦。

 

ドロシーは重大な任務を遂行しなくてはならないのです。

失敗したら終わりです。色々と。

 

そんなこんなでグレースに成り代わったドロシーは彼女が通っている学園に行き

彼女の代わりに授業を受けることにしました。

プレッシャーに圧し潰されそうになっていると、とある美青年がやってきます。

彼の名前はディリック。

王太子殿下というとんでもないハイスペキャラです。

ドロシーは「こんなキャラ居たっけ…?」と困惑。

いきなり現れたディリックは、ドロシー(見た目はグレース)に

「君とオスカーの婚約破棄撤回に協力する(要約)」と言うのです。

 

どうやら王太子殿下のディリックにとっても両家の関係が崩壊するのは避けたい。

だからこの作戦に協力しよう、と言ってくれたのです。

 

こうしてディリックの協力を得て

ドロシーは婚約関係の修復作戦に本格的に取り組むことにしました。

マナーとか礼儀作法とかダンスレッスンとかをいっぱいディリックに指導される日々。

事あるごとに「○○がなっていない、減点」

どこぞの魔法学校の先生みたいなことも言われて

超ハードモードです。

ハード指導の他にオスカーと接触を図ったり授業を受けたり…。

過労死しそうですけど大丈夫ですか?

 

……ここまでの努力が功を奏したのか、

オスカーとグレース(中身はドロシー)は徐々に気軽に話せる仲に戻っていきました。

あれ?でもこれこの乙女ゲーの主人公のシャルロットはどうなるの?

その……シャルロットなんですけど…。

オスカー曰く、

「もう自分に興味がないみたいな態度や言動が目立つようになった」

…と。

 

え?

シャルロットどうしたん?

オスカーと結ばれてめでたしめでたしじゃなかったん?

 

……答え。

シャルロットは

ドロシーと同じく

転生者

乙女ゲームの主人公であることを良いことに

好き勝手やらかしてるトンデモ娘だったのです!

 

乙女ゲームの主人公=モテモテでチヤホヤされる存在!逆ハーレム!

…って意識が強すぎるタイプの人ですね。

うーん。彼女は「ジュエラの親戚」なんですかね…。

(ジュエラに関しては以前投稿した感想記事を見てください。)

ビビった。

今まで悪役令嬢モノとか読んでたけど、

乙女ゲームの主人公キャラが悪女」って奴全然いなかったから…。

だいたいそのままいい子だったり健気だったりして、

フラグ回避の後にお友達になって…なパターンが多かっただけに。

 

うーんビビった。(語彙力が来い)

 

成績優秀な生徒しか入れない生徒会に無理矢理入ろうとしたり(オスカーに言わせてた)、

生徒会メンバーに好評だったお菓子(ドロシー作)のレシピを聞き出そうとしたり。

ディリックとグレース(ドロシー)が出かけたことを知るやいなや怒り出したり。

もうめちゃくちゃです。

 

そしてこれらの奇妙な行いから、

彼女の狙いはオスカーではなく王太子殿下のディリック」だったことが判明。

実はディリックはこの乙女ゲーム「隠し攻略キャラ」。

攻略条件が「オスカーと付き合った後オスカーを捨ててディリックの親愛度を上げる」こと。

 

ひ、ひでぇ…。

浅田が今までやってきた乙女ゲームでの隠しキャラ攻略なんて

「攻略キャラの親愛度が上がる選択肢を避けて隠し攻略キャラとの選択肢を絶対に選ぶ」

でしたから、この乙女ゲーム怖いです。

ヌルゲー連呼されてましたけど、

まさか倫理観もヌルいとは思いませんでした。

こうなるといくらグレース(ドロシー)が関わらないようにしても、

シャルロットがディリックを狙っている以上嫌でも関わらなければならない。

その上やりたい放題なシャルロットは王太子殿下であるディリックを「ディリックさま」とたいへん不敬な呼び方をして馴れ馴れしいので、

グレース(ドロシー)はハラハラしっ放しです。

 

グレースとオスカーの仲も修復できて、これで任務成功かな…と思っていたドロシー。

でも何だかディリックの様子がおかしい。

今までは「両家の関係を良くする為に協力してくれた」人。

お互いの関係はそれだけのはずだったのに。

オスカーがグレースに触れようとすると不機嫌な顔をして阻んできたので、

グレースに変身している身のドロシーは困惑しだします。

 

しかもシャルロットの様子はさらにおかしくなるし……。

ひたすら怒った顔で

「私は主人公で聖女なのに…グレースは悪役令嬢なのになんで…」

「隠し攻略キャラのディリックを攻略する為にハイスピードでオスカーを攻略したのに…」

と物陰で親指を噛みながらブツブツ言っています。

もう主人公のやる仕草じゃないです。

 

 

大きな展開を見せたのは学園祭の時です。

自身の正体(自分はグレースに変身したモブ魔女のドロシーであること)をディリックに告げ、

それを受け入れてくれただけでなく目一杯愛してくれるようになった彼の優しさに笑顔になるドロシー。

目一杯愛する…だけで済んでくれればよかったのですが、

かなり独占欲の強いタイプでしたので

「(今ドロシーはグレースに変身しているので)オスカーとダンスをしなければならない」

ということに対して

「ならばダンスを中止させよう」

とか言い出しましたよ。

愛、怖いなぁ!!!(定型文)

 

ラブラブいっぱいになっていた時に事件が起こります。

なんと舞台の天井から機材がグレース目掛けて落ちてきたのです。

それを庇ったディリックが下敷きに。大怪我を負って瀕死状態に陥ってしまっています。

そうだこんな時こそ回復魔法・癒しの魔法の使える希少な存在、「聖女」のシャルロットの出番。

シャルロットは自信満々に手をかざすもえらく微少な魔力。

これってもしかしてディリックが助からない…?

そんなのは嫌だ、と言わんばかりにグレースいやドロシーは必死で彼を回復させようと魔力を送ります。

これは愛の力でって奴ですか⁉︎見せつけてくれ‼︎

 

 

愛の力によって瀕死状態だったディリックは回復。

しかし魔力切れを起こしたドロシーは気絶してしまいます。

……目を覚ますと隣に居たのは師匠とグレース。

グレースは師匠の指導のおかげで大人しくなり、すっかり冷静かつ凛とした令嬢になりました。

ああよかった…!これで任務は成功だ!

……と喜びたいドロシーでしたが、

「まだディリックにさよならと言えていない」ことが心残りとなっています。

 

回復したドロシーに師匠は気絶した後のことを教えてくれました。

なんとドロシーが気絶した後、シャルロットが

「ディリック様を治したのは聖女である私」と言い張っていたそうな。

どこまで図太いんだこの女……。

そしてディリックがそれを信じて彼女と付き合ってしまったとのこと。

え……?それって…?

 

それを聞いたドロシーはもう悲しい気持ちでいっぱいに。

でも師匠やグレースが励ましてくれたおかげでなんとか立ち直れました。

 

さあディリックはどうしたのか。

開かれたのは卒業パーティ。ドロシーは生徒の身内の振りをして潜入。

ディリックの隣にはやはりシャルロット。

ああやっぱり二人は…と思っていたその時。

 

シャルロットを騎士・兵士が取り囲み

ディリックは「殺人容疑で逮捕する」と言い出したのです。

なんと彼は師匠と一緒にシャルロットの悪行をホログラム映像として映し出しましたよ!!

あ!これラブデスターで見たかも!

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舞台の機材を怪しく笑いながら落としているところもバッチリ映っています。

これが動かぬ証拠となるのですがシャルロットは意地でも容疑を認めません。

そりゃ逆ハーレムやハイスペ男を虜にした聖女生活をずっと送っていたいからな。

 

シャルロットは力を振り絞り、突然大きな光を放出し始めます。

これは原作ではヤンデレ野郎に監禁された時の野郎への必殺技」として使われた魔法。

精神が幼児退行してしまうくらい強力かつ厄介な魔法なのです。

そうか!ヤンデレには幼児退行させればいいのか!!(謎の納得)

 

その光を浴びそうになったディリックの前に飛び出したのはドロシー。

彼女の防御魔法で光を反射しシャルロットに浴びせることに成功したのです。

やるじゃん!魔女として一歩前進!…かな?

光を浴びたシャルロットは精神が赤ん坊状態になってしまいそのまま連行されていったのでした……。

 

事件は全て解決。

長かったけど得たものが多かったと思います。

あの後グレースはオスカーと婚約。復縁しました。

彼女は「シャルロットには関心はない、自分はオスカーと一緒に居れるだけでいい」

師匠の教育の成果なのかはたまた元からの精神であったのかは分かりませんが

凛とした態度で言ってみせるのでした。

 

ドロシーは半ば無理矢理ディリックの妻…つまり次期お妃にさせられてしまいました。

どうやら現お妃様はドロシーが作ったお菓子に喜び、

「ディリック、何がなんでもあの子を攻略しなさい。じゃなきゃ親子の縁を切る!」

と無茶苦茶言っていたそうな。

ここでお妃様は「攻略」と口にしています。

そう。彼女も乙女ゲーの世界に転生してきた人だったのです!!

 

転生者が三人も!?

三国志でも始めるつもりか!?

……なんてことにはなりませんでしたが。

 

こうしてドロシーはディリックと婚約し、楽しい新しい生活を送れるようになったのでした。

 

総合的な感想ですが、

モブ転生はもしかすると初めて。

大体役有り顔有りキャラに転生〜でしたし。

たいへん読みやすかったと思います。

変にチートって感じもしませんでしたし。

元が魔女でしたし。

 

またこういう感じの本に出会えたら読んでみたいですね。

それでは今回はここまで。