久しぶりの短編モノ。
それでは続きを読む、から感想です。
悪役令嬢に転生した私、ヴィアラ。
……って、ヒロインがいないんですけど！
何これバグ？ ストーリー崩壊？
このままだと浮気症の王子と結婚することになるけど、それはムリ！
急いで婚約解消へ向けて作戦を立てる中、なぜか一番真剣なのは従者のシド。
いつも助けてくれる彼にドキドキが止まらない上に、「お嬢は俺がもらいます」ってどういう意味――!?(あらすじより引用)
評価:★★★★★★★★☆☆(8/10)
簡潔な感想
短編でありながら読み応えはかなりあった方だと思います。
後書きで分かったのですが、作者である柊一葉先生は本業が取材ライターだそう。
ああだから読みやすかったんだな、と納得しました。
登場人物はくどくない
悪役令嬢モノということで私は身構えてしまっていたのですが、そんなにくどくなくて安心しました。
悪役令嬢、婚約破棄、とタイトルにありますので
主人公(悪役令嬢)はひたすら回りくどかったり、
婚約者である王子がひたすら愚かで一般常識の欠片も持ち合わせてなかったり、
乙女ゲーム主人公は逆ハーレム狙いのオツムの足りない女だったり……
を想像してたんですが実際は違っていました。
乙女ゲームじゃなくて小説がベースだったのも大きいと思いますが、
主人公は魔力を込めて殴ってくる系のしっかりした女性でしたし、
王子はただただ自意識過剰で浮気性で傲慢な男性。
乙女小説主人公は物語の舞台である学園に入学せずお弁当屋で働く女性でした。
(なんと彼女も転生者、しかもこの世界では既婚者となっています……)
そして主人公の従者は少し黒い所はありますが有能だったのでたいへん魅力的。
こういうのってヤンデレとまでは行かなくとも腹がどす黒かったりしますからね。
変にドロドロしたりしなかったのも良かった
主人公のヴィアラの目標は唯一つ。
婚約者であるバロック殿下との婚約解消。
だからいろいろな策を講じて婚約解消まで漕ぎ着けるように奮闘します。
小説の主人公であるククリカを学園に編入させて殿下とくっつくようにしたり、
たいへん魅力的な女性に殿下への誘惑を頼んだり。
前者は先程述べた通りククリカが既婚者だったので失敗。
後者にかけるヴィアラだったけど……と話が進んでいきます。
作戦もシンプルなのでたいへん分かりやすい。
だから変にドロドロした展開になりませんでした。
誘惑役を任された女性も権力や金銭等でとてもがめつい人だったので、
まあこじれることもありませんでしたし。利害が一致した、って奴です。
まさにタイトル通り
最後にヴィアラは本当に従者と一緒に領地から逃亡。
兄も他従者もみんなあの愚かかつ傲慢な殿下とヴィアラが結婚することに猛反対していたので、
この逃亡もなんとか了承してハッピーエンド。
本当に良かった、という物語です。
最後に
スッキリしたお話でした。
あとがきに「さらなる物語」とあったのですがもしかして続編あります……？
楽しみに待っています。
今回は以上です。
ありがとうございました。
